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エアコン2027年問題で工事現場はどう変わる?買い替え需要と設置前確認のポイント
2026.07.07ブログ
エアコン業界では、2027年度から始まる新しい省エネ基準について、「エアコンの2027年問題」という言葉で取り上げられる機会が増えています。
この言葉だけを聞くと、2027年になった途端に古いエアコンが使えなくなったり、現在販売されている機種がすべて店頭からなくなったりするような印象を受けるかもしれません。
しかし、実際には、現在家庭で使用されているエアコンの使用を禁止する制度ではありません。また、基準を満たしていない製品が2027年4月から一台も販売できなくなるという単純な仕組みでもありません。
エアコン工事業者が注目したいのは、「使えるか、使えないか」という話よりも、省エネ性能の向上によって製品構成や本体サイズ、購入価格、お客様の買い替え判断がどのように変わっていくかという点です。
今回は、エアコンの2027年問題が工事現場に与える影響と、今後の取付工事で確認しておきたいポイントを考えていきます。
2027年度から家庭用エアコンの省エネ基準が変わる
2027年4月から、一般的な家庭用壁掛形エアコンに新しい省エネ基準が適用されます。
これは、省エネ・非化石転換法に基づくトップランナー制度によるものです。現在販売されている製品の中でも高い省エネ性能を持つ機種や、今後予想される技術の進歩を踏まえ、メーカーや輸入事業者が目指す省エネ性能の基準が定められています。
一般的な壁掛形エアコンは2027年度以降、壁掛形以外の家庭用エアコンや一部のマルチタイプなどは2029年度以降に、新しい目標基準が適用されます。
この制度で求められているのは、メーカーなどが出荷する対象製品について、区分ごとの省エネ性能を一定水準まで引き上げることです。
一台ごとに必ず基準を達成しなければならない仕組みではなく、区分ごとの出荷台数を踏まえた平均によって達成状況が判断されます。そのため、「基準を満たしていない機種はすべて製造禁止、販売禁止になる」と考えるのは正確ではありません。
現在取り付けられているエアコンは2027年以降も使用できる
お客様から聞かれる可能性が高いのが、「今使っているエアコンは交換しなければいけないのか」という質問です。
新しい省エネ基準は、すでに設置されているエアコンの使用を制限するものではありません。故障しておらず正常に運転できるエアコンであれば、2027年度以降もそのまま使用できます。
使用年数が浅く、冷暖房能力にも問題がないのであれば、2027年問題だけを理由に急いで交換する必要はありません。
一方で、設置から長い年数が経過している場合は、省エネ基準とは別の視点で交換を考える必要があります。冷暖房の効きが弱くなっている、運転音が大きい、水漏れが発生している、修理部品が残っていないといった状況であれば、故障して動かなくなる前に買い替えを検討する意味があります。
エアコン工事業者には、制度を理由に交換を急がせるのではなく、機器の状態や使用年数、修理の可否、設置環境を見たうえで、適切な選択肢を伝える姿勢が求められます。
低価格帯のエアコンは本当になくなるのか
エアコンの2027年問題では、「安いエアコンが買えなくなる」という話も広がっています。
新しい基準に対応するためには、熱交換器や圧縮機、送風機、制御技術などの性能を高める必要が出てくる可能性があります。部品や構造が変われば製造コストにも影響するため、従来と同じ価格帯を維持することが難しくなる機種も考えられます。
メーカーが省エネ性能の低い機種を縮小し、高効率モデルを中心とした商品構成へ切り替える可能性もあります。その結果、現在のスタンダードモデルの一部が生産終了になったり、後継機種の価格が高くなったりすることはあり得ます。
ただし、2027年度になれば低価格帯のエアコンがすべてなくなると決まっているわけではありません。
製品価格は、省エネ基準だけでなく、材料費、物流費、為替、人件費、製造台数、販売店の方針などにも左右されます。現時点で将来の販売価格を一律に断定することはできないため、お客様へ説明するときも、必要以上に不安をあおらないことが大切です。
省エネ性能を見るときはAPFと期間消費電力量を確認する
今後のエアコン選びでは、本体価格だけでなく、APFや期間消費電力量を見る機会が増えていくと考えられます。
APFとは通年エネルギー消費効率のことで、一定の条件で一年間冷房と暖房を使用したときに、消費した電力量に対してどれだけ冷暖房能力を発揮できるかを示す指標です。基本的には、数値が大きいほど効率のよいエアコンと判断できます。
ただし、APFの数値だけで実際の電気代が決まるわけではありません。
建物の断熱性能、部屋の広さ、窓の大きさ、日当たり、設定温度、運転時間、室外機の設置環境によって消費電力は変わります。同じ機種を取り付けても、住宅や使用方法が違えば電気代も変わります。
お客様へ機種を案内するときは、「APFが高いから必ずこの金額まで安くなる」と断定するのではなく、省エネ性能を比較するための一つの目安として説明することが重要です。
高性能化によって室内機が大きくなる可能性がある
エアコン工事業者が特に注意したいのが、室内機の寸法です。
省エネ性能を高める方法の一つとして、熱交換器を大きくし、より多くの空気と効率よく熱交換させる設計が考えられます。内部部品や風路の構造が変われば、室内機の横幅や高さ、奥行きが従来機種と異なる場合があります。
これまで取り付けられていたエアコンが幅800ミリメートル前後だったとしても、買い替える機種が同じ場所に納まるとは限りません。
天井と配管穴の間が狭い、カーテンレールが近い、収納扉と干渉する、壁の左右に余裕がないといった現場では、機種によって取付位置を変更する必要があります。
室内機の横幅だけでなく、天井から必要な距離、本体下部と配管穴の位置関係、前面パネルを開くための空間、左右のサービススペースまで確認しなければなりません。
新しいエアコンを購入してから設置できないことが分かると、機種変更や工事日の延期につながります。2027年度基準への対応機種が増えていく中では、工事当日だけでなく、購入前や事前訪問時の確認がより重要になります。
室外機の設置環境も省エネ性能に影響する
省エネ性能の高いエアコンを取り付けても、室外機の設置環境が悪ければ、本来の効率を十分に生かせません。
室外機は、冷房運転時に室内から運んできた熱を屋外へ放出します。室外機の前方が壁や荷物でふさがれていると、排出した熱い空気が周囲にこもり、再び吸い込み側へ回り込むことがあります。
狭いベランダ、格子状の目隠しに囲まれた場所、室外機を複数台並べる場所では、吹き出し方向と吸い込みスペースを慎重に確認する必要があります。
また、屋根置き、壁面置き、天吊り、二段置きなどの特殊な設置では、通風だけでなく、固定強度、振動、点検スペース、将来の入れ替え方法まで考えなければなりません。
エアコンの性能が上がるほど、カタログ上の数値だけでなく、その性能を引き出せる設置を行うことが工事業者の役割になります。
買い替え工事では配管穴や専用回路の確認が欠かせない
2027年問題をきっかけに買い替えを検討するお客様が増えた場合、既設エアコンからの交換工事も増える可能性があります。
交換工事では、現在エアコンが付いているという理由だけで、そのまま新しい機種を設置できると判断してはいけません。
室内機の大きさが変われば、既設の配管穴との位置が合わない場合があります。コンセントの位置や形状、電源電圧、専用回路、ブレーカー容量も機種によって確認が必要です。
特に能力の大きい機種へ変更する場合は、100Vから200Vへの切り替えや、コンセント交換が必要になることがあります。反対に、既設機と新設機の電源仕様が同じに見えても、工事前には必ず現物と分電盤を確認しなければなりません。
隠蔽配管を再利用する現場では、配管径、長さ、高低差、配管内部の状態、新しい機種の施工条件まで確認する必要があります。
新基準対応機種を選んでも、既設設備との組み合わせに問題があれば、予定どおりに工事を進められません。事前確認の精度が、工事当日のトラブルや再訪問を減らすことにつながります。
2027年問題を不安ではなく正しい買い替え判断につなげる
エアコンの2027年問題は、古いエアコンが突然使用できなくなる問題ではありません。
一方で、省エネ性能の高い製品への移行が進むことで、商品構成、本体価格、室内機の寸法、お客様が機種を選ぶ基準が変わっていく可能性があります。
エアコン工事業者としては、制度の言葉だけを覚えるのではなく、現場で何を確認し、どのように説明するかまで考えておく必要があります。
現在のエアコンが問題なく使えているお客様には、急いで交換する必要がないことを伝える。使用年数が長く、不具合が増えているお客様には、繁忙期前の買い替えも選択肢として案内する。新しい機種を選ぶ場合は、本体寸法や電源、配管穴、室外機置場まで事前に確認する。
このような現場に合わせた対応ができれば、2027年度の省エネ基準は、単なる価格や制度の話ではなく、エアコン工事業者の知識と確認力を生かせる機会になります。
お客様が本当に必要としているのは、買い替えを急がせる説明ではありません。現在の機器を使い続ける場合と、新しい省エネ機種へ交換する場合の違いを理解し、自分の家庭に合った選択ができる説明です。
製品が変わっても、適切な機種選定と確実な取付工事が重要であることは変わりません。2027年問題を正しく理解し、設置環境まで含めた提案ができることが、これからのエアコン工事業者に求められる力です。
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